ネガティブな“陰”の字が使われることの多い日本語の性器の表現にかわり、教科書で広まっていたペニスやワギナなどの外来用語も、03年度の教科書検定で「学術用語ではない」という物言いがつき、小学校のすべての教科書が削除。06年には中学校、07年には高校の保健体育の教科書からも、姿を消した。
またセックスを意味する「性交」という言葉も、同じ頃の検定でなぜか「性的接触」と言い換えられるようになり、12年に一部教科書で使われたあとは中学の保健体育の教科書から消えたという。
その「性的接触」にしても、指導要領に「妊娠の経過は取り扱わないものとする」と書かれている中学の教科書では、ほとんど説明がない状況だ。
例えば現在、中学校の学習指導要領では、性感染症の予防について「性的接触をしないこと、コンドームが有効であることにも触れるように」と明記されているが、教科書には、性的接触とは何かについてそもそもの説明はなし。またコンドームは出てきても使い方やつけ方の説明もないという。
そんななか今年3月には足立区の中学校で、高校で取り扱うことになっている避妊や人工妊娠中絶に触れる授業が行われたことが都議会で批判され、ニュースにもなった。
「世界の学校での性教育と比べても大きく遅れているうえ、現場が萎縮して、さらに日本の性教育が歪んでいくのではないか心配です」
と茂木さんも話す。
意外にも昭和の「うれし恥ずかし」キャラを、この時代になってもキープしていた学校の性教育。保健体育の授業にはしゃぎすぎて女子に報復される「オザワの悲劇」、ノーモア!(ライター・福光恵)
※AERA 2018年5月28日号