都内在住の会社員の男性(47)は、酔うと誰彼かまわず相撲を取りたくなる。脈絡もなく路上で「よし、やるぞ!」。勝手にがっぷり四つに組み、相手の衣服をビリビリにしたことも。ある男性(37)は、酒を飲む機会は年に数回程度だが、飲むと大抵飲みすぎ、荷物を放り出して帰宅してしまう。いずれもよく聞くような話だが、身近な「酒癖の悪い人」は、問題飲酒のぬかるみにはまってはいないか。
前出の瀧村医師は言う。
「人によりお酒に強い弱いがあるように、脳のアルコールとの結びつき方にも個人差があるのでは。悪酔いが過ぎるタイプは、正直お酒を飲まないほうがよいのではと、私自身は思います」
酒に強ければかまわないかというと、そうとも言えない。
「ストレスがたまっていれば悪酔いしやすいのも、つらいことがあってやけ酒を飲む心理も皆さん想像できますよね。日本には一生のうち少なくとも1回は『依存症』レベルになる人が100万人程度いるといわれます。全国の『中村さん』という名字の人と同じくらい、身近なものです」(瀧村医師)
脳はアルコールでたやすく失敗する。つらい時こそ酒量をコントロールする、増えた酒量は減らすなどの自衛策を心がけたい。(編集部・熊澤志保)
【あなたのお酒の飲み方、大丈夫?】
Q1.アルコール飲料をどのくらいの頻度で飲みますか。
(0)飲まない
(1)1カ月に1度以下
(2)1カ月に2~4度
(3)1週に2~3度
(4)1週に4度以上
Q2.通常どのくらいの量を飲みますか。
(0)0~2ドリンク※
(1)3~4ドリンク
(2)5~6ドリンク
(3)7~9ドリンク
(4)10ドリンク以上
Q3.1度に6ドリンク以上飲酒することはどれくらいの頻度でありますか。
(0)ない
(1)1カ月に1度未満
(2)1カ月に1度
(3)1週に1度
(4)毎日またはほとんど毎日
※アルコール10g=1ドリンク換算(5%のビール250ml、7%の酎ハイ180ml、15%の日本酒0.5合)とする
介入不要
男性(0)~(4)点
女性(0)~(3)点
問題飲酒もしくはアルコール依存症が疑われる
男性(5)点以上
女性(4)点以上
注)(0)~(5)はQ1~Q3の合計点。点数はあくまで目安。このチェックだけで問題飲酒や依存症の有無が診断できるものではありません
出典:飲酒習慣スクリーニングテスト(AUDIT)から
※AERA 2018年5月28日号