「外国の教科書には、Leave it alone、つまりそのままにしろと記述してあります。日本では一部の医師や保健師が小さい時に剥いた方がいいと推奨していますが、痛みを伴い、処置が適切でないと剥いたときに生じた傷が元で亀頭包皮炎などを起こしたり、傷からの浸出液で亀頭と内皮が本格的に癒着してしまうこともあります」(迫田医師)
迫田医師によると、小児は、包皮と亀頭の間にたまった恥垢も取る必要がないという。
「この垢は上皮が古くなって剥がれたもの。汚くはありません。何百人かの垢を培養して検査した結果、悪菌は出なかったというデータもあります。むしろ、垢があることによって包皮と亀頭の間に隙間ができ、剥けやすくなるという利点もある」(同)
ただし、におうようならば感染の疑いもあるので要注意だ。
思春期になって本人が気にするようであれば、手術を検討する。仮性包茎の場合は保険が適用されず、専門のクリニックで行うのが一般的だ。メンズサポートクリニック新宿院では、相談に来る約7~8割が仮性包茎だという。
「セックスの最中に包皮が動くのが気になるとか、陰毛が中に入り込んで擦れるなど機能的な問題もありますが、ほとんどはやはり見た目です」(葉山芳貴院長)
高校生からの問い合わせもあるが、卒業までに剥ける可能性もあるので手術を控えるように助言するという。例外もある。ある男子生徒は、高校からサッカー部の寮に入る予定で、入浴時に包茎がばれてしまうので手術をしてほしいと強く希望した。
「未成年は親の同意が必要なので、私から親御さんに電話して了解を得ました」(同)
最近では60歳以上の高齢者が、将来介護されることを見越して手術を依頼するケースが増えているという。手術は、余分な包皮をぐるりと切り取って縫い合わせる。満足のいく結果が得られずトラブルに発展することもあるそうなので、クリニックは慎重に選びたい。(ライター・柿崎明子)
※AERA 2018年5月28日号