ティモシー・シャラメ/1995年、米ニューヨーク生まれ。英仏語のバイリンガル。子役として「ホームランド」など米テレビドラマで活躍。2011年にはブロードウェーデビューも果たす (c)Frenesy,La Cinefacture
ティモシー・シャラメ/1995年、米ニューヨーク生まれ。英仏語のバイリンガル。子役として「ホームランド」など米テレビドラマで活躍。2011年にはブロードウェーデビューも果たす (c)Frenesy,La Cinefacture
「君の名前で僕を呼んで」/全国で公開中。現代のイタリアを背景にしたドラマを得意とするイタリア人監督ルカ・グァダニーノの最新作 (c)Frenesy,La Cinefacture
「君の名前で僕を呼んで」/全国で公開中。現代のイタリアを背景にしたドラマを得意とするイタリア人監督ルカ・グァダニーノの最新作 (c)Frenesy,La Cinefacture

 AERAで連載中の「いま観るシネマ」「もう1本 おすすめDVD」では、毎週、数多く公開されている映画の中から、いま観ておくべき映画とDVD作品をセレクト。「いま観るシネマ」では、監督や演者に直接インタビューし、作品の舞台裏を、「もう1本 おすすめDVD」では、あわせて観て欲しいおすすめDVDを紹介します。

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■いま観るシネマ

「君の名前で僕を呼んで」の感動的な演技で、ベテランと肩を並べ本年度アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたのは22歳のティモシー・シャラメだ。「あれほど相手に対する思いを詳細かつ繊細に情熱をこめて描いた小説を、読んだことがなかった。二人の内に秘めた相手への思いと自己との葛藤に興味を惹かれた」とアンドレ・アシマンの原作についてコメントする。

 本作で彼が演じるのは17歳の主人公エリオだ。大学教授の父の教え子の大学院生が、夏休みに自宅の別荘に滞在する。その彼に対し、最初はライバル意識にも似た好奇心をそそられるが、いつしかそれが恋心へと変わる。その微妙な心理を、ティモシーはスクリーンに焼きつけるのだ。

「同性愛映画、青春映画というふうにジャンルづけするのは不可能だと思う。この映画は恋愛への賛歌だ。エリオは社会的な壁のせいではなく、自分の内部にある壁のせいで愛が表現できない。心の壁というテーマは多くの恋愛映画に共通すると思う。役を引き受けるにあたり、同性愛というテーマに関して、まったく抵抗はなかった」

 と言い切る。監督のルカ・グァダニーノと脚本家のジェームズ・アイヴォリーは、会って一目でエリオを演じるのは彼しかいないと確信したという。この役に抜擢されたのは弱冠17歳の時。

「セラピーを受けるような気持ちで演技を始めた。真剣に取り組むようになったのは13歳で演劇学校に入ってから。同級生と私的な経験を分かち合った。そこから得たものは大きかったと思う。世界には学校にも行けない人も多いから、学校に行けるだけでも幸運だ。多くの人は成績優先、テスト優先の学校に通っているけれど、僕は演劇学で、自分自身を考察する機会をもらえて幸運だった」

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