「保護者=母親」が前提で活動が続いてきたPTA。平日に集まりがあることも多く、働く親にはハードルが高い。そんなPTA活動を夫婦でやりくりするケースが増えている。その際、女性だらけのPTA活動に夫をどうなじませるかが課題になるようだ。
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夫婦ともにフルタイムで働いているので、保育園時代の保護者の集まりにはできるだけ2人でスケジュールを調整して交代で参加し、毎日の送り迎えも分担してきたのに……。さいたま市の公立小学校に昨年子どもが入学したAさん(38)は初日の衝撃が忘れられない。
「入学式で校長の挨拶のあと、PTAの紹介があったんです。6人の役員が立ち上がった瞬間、夫がドン引き。一人残らず女性だったから。『俺、ちょっと無理かも……』とささやかれ、私もショックでした」
しかし、怒濤のように押し寄せるPTAなど保護者任務に母親だけで対応することはできない。PTAの委員決めの日は、「父親が出たほうが面倒な役に指名されにくい」という噂を聞いて夫が出席し、父親も参加しやすそうな「イベントの手伝い係」を引き受けた。ほかの係は平日の日中に集まるものが多く、夫の参加は望めない。この係だったから、なんとか夫婦で分担してこの1年を乗り切ることができた。
子どもが保育園に通っていた共働き家庭が小学校でいきなり直面するのが「PTAの壁」だ。「保護者=専業主婦かパートの母親」という認識のもと、平日に招集がかかることが多い。共働きも増えた今、母親の“ワンオペPTA活動”は無理だ。だからこそ、夫婦で乗り切ろうという家庭が増えている。
千葉県市川市のBさん(41)もここ4年、夫婦でPTA活動に取り組んできた。Bさんは専業主婦だったが、末子が幼稚園のとき週3日で仕事を再開。以来子どもに関するタスクは夫とシェアしている。
「PTAは周りが女性ばかりだから、夫はなかなか入り込めず大変そうでした。『あそこの家はお父さんなんだ?』みたいな目で見られるし(苦笑)」