「料理動画の良いところは、テキストのレシピもついているので、立体的に料理がわかること」
そう話すのは、『料理は女の義務ですか』などの著者で、生活史研究家の阿古真理さんだ。
「料理を覚える上で有効なのは作業を『見る』ことです。真俯瞰だと、誰が教えているのかなどの余計な情報が入らない。手元がよく見えて、シンプルにプロセスを確認することができるのは画期的だと思いました」
しかし、1分という短い動画では、作業工程の確認だけで終わってしまうのも事実だ。阿古さんは「調理のコツは、炒め具合や、泡立て器の動かし方など、些細な点にある」と話す。
「現代人は忙しいので『時短』や『効率化』を優先しがちですが、手作りのものを食べる楽しみや、それぞれが持つ“このひと手間は譲れない”という感覚も大切にしてほしいですね」
これからの料理動画はレシピの充実と、動画としてのエンタメ性が同時に問われていくのでは、と阿古さんは予想している。
料理動画の進化から、これからも目が離せなくなりそうだ。(編集部・小野ヒデコ)
※AERA 2018年4月23日号より抜粋