打撃は、フォーム変更がうまくいっている。昨季まで在籍したプロ野球・日本ハム時代は軽く右足を上げてタイミングを取っていたが、オープン戦を通じて差し込まれてのゴロが多いとみるや、足を上げず、右ひざを内側にひねるような動作でタイミングを取る打法に改良。手元で微妙に動く大リーグの投手特有のボールに対応できている。
アメリカン・リーグのMVPを2度獲得したエンゼルスのスター、マイク・トラウトは、三つ年下の大谷に感心する。「彼は才能に甘えず、熱心に練習し、いつでも準備している。慣れるのに少し時間はかかったが、すごいプレッシャーのなかで、みんなが見たいと思っていることをやり、自分自身の存在を示した」
ただ、今後も同じような活躍ができるかどうかはわからない。大リーグは、日本のプロ野球以上にデータ分析が進んでいる。守備位置一つとってみても、遊撃手が二塁ベースの後ろを守っていたり、一塁手が一塁線を大きくあけていたりと、各打者に応じてガラリと変える。
投手・大谷なら、投球パターンや直球、変化球の軌道、打者・大谷なら得意、苦手なコースなど、あらゆるデータがつまびらかにされ、対策が練られるのも時間の問題だろう。本人も承知しており、「まだ始まったばかり。それこそ、次の試合から打てなくなることも、もしかしたらあるかもしれない」。目先の結果だけにとらわれず、地に足をつけてプレーしている。(朝日新聞スポーツ部・山下弘展)
※AERA 2018年4月23日号