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筒井:人材の循環性や流動性というのは日本の大きな問題の一つです。投資側についても、日本だと科学のことがわからない、財務や経営、法律をやっている人が重要な決定をする場合が多い。一方、アメリカの投資家は、自分で『サイエンス』や『ネイチャー』などの学術雑誌をきちんと読み込んで、おもしろそうな研究を見つけて、自ら研究者にアプローチして社会実装、産業移転にもっていこうとします。アメリカでは、そういう科学のことが本当にわかっている目利きのできる人が投資側にいる。そういう人材の流動性がすごく確保されているわけです。

中内:アメリカでは、実際に自分でスタートアップをやって、失敗と成功を重ね、最終的に成功してある程度お金をもった人が、今度はVC側になって新しいスタートアップの指導をしたり、投資をしたり、助言をしたり、人材を紹介したりする。そういう人が大勢いて、起業と発展のシステムがうまく回っています。

 日本には目利きのできる人がごくわずかしかいません。科学のことをよく知らない人が「3年で儲からないと困る」といった、いわば中小企業への貸付レベルの話をしている印象です。ベンチャースピリットをあまり理解していなくて、最初から儲けなきゃいけないという感じで、スタートアップへの投資が行われている。全体としてシステムが熟していないどころか、基本的な精神すらあまりわかっていないのではないでしょうか。

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