ファイナンシャルプランナー(FP)の風呂内亜矢(ふろうちあや)さんは、トンチン型年金の使い方についてこうアドバイスする。

「自分で計画的に貯蓄や運用ができる人にとってのメリットは大きくありませんが、毎月定額が引き落とされる保険のほうが資産形成しやすいという人にとっては、老後資金対策の有力な選択肢になります。いずれにせよ、元を取れるかどうかにこだわるより、あくまで長生きへの備えとして活用するのがいいでしょう」

 長生きに伴うリスクのひとつに、認知症がある。2025年には高齢者の5人に1人が認知症を発症すると推計され、認知症に特化した保険も人気を集めている。16年3月に太陽生命が発売した「ひまわり認知症治療保険」「認知症治療保険」の2商品は、販売から2年間で32万件の契約を獲得するヒット商品となった。器質性の認知症と診断されて180日継続すると、給付金を受けられる保険商品だ。

「特に告知条件がゆるやかな『ひまわり認知症治療保険』は、持病のある人も加入しやすく、骨折や白内障など高齢の方に起こりやすいリスクをカバーしていることがお客さまに評価されているようです」(広報部・武藤祐輔さん)

 認知症に対応する保険は朝日生命、メットライフ生命なども追随して発売しており、ラインアップは拡大中だ。

 新しいタイプの商品が続々と登場する保険業界。「備えあれば憂いなし」とはいえ、すべてに加入できるわけではない。新商品とどのように向き合い、検討していくべきか、風呂内さんはこうアドバイスする。

「新しい保険は、生活に伴うリスクをあぶり出してくれるものととらえるのがオススメ。保険で備えるかどうかはともかく、こうしたリスクがあるということを認識し、対策を考えるきっかけにしてはどうでしょうか」

(ライター・森田悦子)

AERA 2018年4月9日号より抜粋