

名物編集者・末井昭の壮絶な半生を描いた映画「素敵なダイナマイトスキャンダル」。主題歌も担当した2人がスキャンダラスな胸の内を明かした!
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──タイトルどおり、非常にスキャンダラスな映画でした。お二人の感想は?
尾野:初めはどんな映画になるのか想像もつかなかったんです。だから、お話をいただいたときは戸惑いました。「こんな際どい描写の多い映画をつくっていいの?」「いや、でも映画だしいいのか?」なんて考えながら気を落ち着けて、「(柄本)佑(末井昭役)が主演なら大丈夫か」ということでもう一段落ち着き、「監督は冨永昌敬さんなのね」っていうところでさらに落ち着き、不安を徐々に落ち着かせていったら、「出たい」と思い始めた。実際、出演してよかったです。まさか、こんなに面白い映画になるとは(笑)。
末井:僕は、母親を演じてくれたのが、一番ビックリしましたよ! 絶対、母親も草葉の陰でビックリしているはずです。
──尾野さん演じるお母さんに面影はありましたか?
末井:全然! あるわけがない(苦笑)。尾野さんのほうが、圧倒的にお美しい。でもね、うちの母親は着飾るのが好きだったんですよ。1955年頃のことかな。僕が育ったのは岡山県の山奥だったんです。みんな農作業するから、女性はモンペ姿。でも、母親は当時「死病」と言われた肺結核を患っていたので、働かないわけ。それまでは町の病院に入院していたから、都会の雰囲気もあって、僕にとって自慢の母親だったんです。病気が進んで、自分が助からないことを知ってたから、お化粧をしたり、派手に着飾って男を誘うようになったのかもしれないけど。尾野さんが綺麗な着物を着て、村の男たちから注目されるシーンを見たときは、その当時の母親のことを思い出しましたね。
──隣家の息子と不倫した末に、ダイナマイトで心中するという役どころでしたが、演じてみていかがでした?
尾野:難しかった。台詞がないのがもどかしかったですね。
末井:でも、尾野さんの表情は印象的でした。子ども(幼少期の末井)を最期に見に来るところとか、すごいよかったです。
尾野:末井さんのお母様の気持ちは計り知れないんですよ。ダイナマイトで心中するなんて、想像もつかない。だから、何も考えずに演じるしかなくて。
末井:僕だって想像できませんよ(笑)。だから人に話しても冗談だと思われることもある。