近年、ロボット支援手術も増えている。3次元CTによる術前計画どおりに人工関節が正確に設置できるように、医師の術中操作を精密に制御するロボットアームがサポートする。人間では難しい1~2ミリ、1~2度といったわずかな調整も可能だ。2019年から手術支援ロボットMakoを導入しているという中川医師はこう話す。
「患者さんごとに異なる骨形態や膝周囲の組織に合わせて、術中に人工関節の設置を微調整できるのがロボット手術のメリット。カスタムメイドの手術ができ、より違和感のない設置が可能です」
人工膝関節置換術ではこれまで、約2割に違和感や痛みが残るという問題があった。その問題もロボット手術で解決できる可能性があるという。ロボット手術が可能な病院は全国にまだ多くないが、ロボット手術の導入で、医師が経験や勘でおこなってきたことの数値化も可能になる。ロボット手術を積極的に導入している平中医師も言う。
「多くのデータが蓄積されていくため、これらを活用して患者さんごとに最適な手術が可能になることを期待しています」
(文・石川美香子)
※週刊朝日2023年4月28日号より