大野雄大が左肘の手術で長期離脱となっただけに先発候補も必要である。二軍の投手陣は現在総崩れという状況だが、その中で徐々に調子を上げてきているのがドラフト1位ルーキーの仲地礼亜だ。開幕当初は打ち込まれる試合が続いていたが、4月19日の広島戦で7回途中無失点の好投を見せると、続く27日のオリックス戦でも6回を投げて1失点と見事な投球で二軍初勝利をマークした。本格的に一軍の戦力となるのは来年以降になりそうだが、この調子が続くようであれば一軍抜擢の可能性もありそうだ。

 レギュラーの大半が打率2割前後とパ・リーグで貧打に苦しんでいるのが楽天だ。新加入の阿部寿樹、新外国人のフランコが機能せず、今年も左打者偏重の打線となっているだけに、二軍から右打者を引き上げたいところだ。候補として挙がるのが巨人から移籍して5年目の和田恋と、昨年オフに現役ドラフトで加入した正隨優弥の2人だ。和田は昨年まで二軍では3年連続でチームトップとなる本塁打を放つなど、パンチ力には定評がある(2021年はトップタイ)。今年はここまで打率は3割、出塁率も4割を超えるなど、確実性もアップしている印象だ。一方の正隋も二軍では一昨年は11本、昨年は8本のホームランを放っており、ウエスタン・リーグでの実績は申し分ない。今年もここまでホームランは1本だが、長打率は5割を超えるなど、見事な成績を残している。今年で和田は28歳、正隋は27歳と一軍定着はラストチャンスに近い年齢となっているだけに、首脳陣には何とかチャンスを与えてもらいたいところだ。

 最後に投打ともに苦しい状態なのがパ・リーグ最下位の日本ハムだ。投手では鈴木健矢が安定したピッチングを見せているが、エース格の伊藤大海の調子が上がらず、ルーキーの金村尚真も右肩の違和感を訴えて登録抹消となっている。また野手も開幕から安定した打撃を見せていた清宮幸太郎が死球を受けた影響でこちらも二軍調整となったのは大きな誤算だ。そんな中で投手でまず先発候補として挙げたいのが高校卒3年目の根本悠楓だ。昨年も13試合に登板して3勝3敗、防御率2.52を記録。今年は開幕ローテーション入りは逃したものの、二軍では安定した投球を続けている。制球力と投球術は20歳とは思えない老獪さがあるだけに、早期の一軍昇格に期待したい。

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イチローも“一目置いた”打者