私はこのコミュニティカレッジに1年ほど通った。南米から移民してきた受講生が多く、韓国人はいなかったから、クラスメイトと会話をするには必ず英語を使わなければならなかった。
私の英語力はひどいものだった。会話にはいつも苦労していたが、特に恐ろしかったのは月曜日の授業。短いフリートーキングタイムがあり、どんな週末を過ごしたかをパートナーに話す。ぎこちなく微笑んで目をそらしながら毎週ごまかしていたが、このままではいけないと思って1つのフレーズを準備した。
「I went to church.」
うん、これなら大丈夫だろう。
月曜日の授業時間。いよいよ会話の時間だ。週末に何をしたのかとパートナーに聞かれた。私ははりきって準備したフレーズを言った。
「アイ・ウェントゥー・チャーチ」ひそかに満足していたが、さらに質問が。
「そうなんだ。きみの宗教は?」
What? 韓国では、教会に通っているといえば当然、キリスト教徒であることを意味する。仏教徒なら寺に通い、カトリックなら聖堂に通うのではないだろうか。私はうろたえた。
(えっと、教会に行ったんだから、キリスト教徒なんだけど……。宗教って?)
頭の中が真っ白になった。“キリスト教”の英語がまるで思い出せない。P で始まる単語だった気がするけど……。やむを得ず「アイ・ドン・ノー」と答えてしまった。
すると今度は「そっか。教会はどこにあるの?」と聞いてくる。ウソでしょ! どうしてこんなにいろいろ知りたがるの。今度はなおさら厄介だ。
(どうやって位置を説明すればいいんだろう?)
to不定詞と関係代名詞が頭の中でこんがらがって、何も思い浮かばない。だからこう答えた。
「アイ・ドン・ノー……」
オーマイガッ! まるでさらわれたみたいではないか。教会に行ったのに、宗教もわからなければ、位置もわからない……。週末農園の労働に無理やり駆り出されて帰ってきた人のようだった。幸い、パートナーからはもう何も聞かれなかった(涙)。
帰宅後、授業での出来事を夫に話しながら、キリスト教は英語で何と言うのか聞いたら、クリスチャンだという。オーマイガッ×100! ジーザス・クライスト!
そうよ、私はクリスチャン。母のおなかにいるときから聞いていたその言葉を言えず、「アイ・ドン・ノー」と答えた恥ずかしさで全身が真っ赤になった。このバカ、バカ!