「理研が16年に改正した就業規程は一方的な不利益変更で、法的には無効だ。今回、雇い止めを許すと、有期雇用の研究者にも影響が出る。日本を代表する研究機関がそれでいいのか」
改正労働契約法では研究者や教員などについては無期転換申込権発生までの期間を10年とする特例を認めている。このままいけば有期雇用の研究者は23年3月で雇い止めになるのだ。
理研の雇い止め問題を国会で取り上げた共産党の田村智子参院議員は、こう語気を荒らげる。
「民間企業とは違い、政府は独立行政法人には直接モノを言えるし、予算もつけられる。大量の雇い止めを生むようなら、働き方改革を語る資格はない」
事務業務員のサナダさん(女性・52)は取材中、涙を隠さなかった。理研で働いて17年。所内に知った顔がたくさんいる。