業務にある程度の裁量もあり、社員食堂や交通費の支給など、契約社員にも福利厚生はつくので、「中小企業で正社員になるよりは」と現職で働き続けている。だが、給与が安い。9年の間に数千円規模の昇給はしたが、月収は20万円に満たず、おそらく、正社員の半分程度だ。
「職場では、理由はわかりませんが、契約社員は0.7人として計算されると聞きました。『あなたは1人前ではなく0.7人前、0.7人分の命』と日々言われているようなもの。新聞に載るときも、職業は『会社員』ではなく『契約社員』です。私たちは、正社員に『まだ下がいる』と思わせるための存在なのだと思います」(女性)
日常的に差別がある、という声は、AERAが行ったアンケートにも寄せられている。
「名前で呼ばれず、派遣さんと呼ばれた」「派遣社員、正社員で入館証ストラップの色が違う」もたいがいだが、「非正規は私語NG」「非正規は休憩室で仮眠してはいけない」までくると、嫌がらせのようだ。
だが、ちょっと待ってほしい。今は2018年、先進国である日本の労働市場の話だ。誠実に努力さえすれば、道が開けるはずではないか。早稲田大学の橋本健二教授(社会学)の指摘は、残念ながらシビアだ。