今春の認可保育所への入所の可否を知らせる通知が届き始めるなか、小池百合子東京都知事が「異例の待機児童対策」を打ち出し話題を呼んでいる。
小池知事が発表した施策は、1人当たり月28万円を上限にベビーシッター利用料を補助するというものだ。都は平均利用料を1時間2千円とし、1日8時間×20日間で月32万円。約9割に当たる28万円を補助すると、保護者負担は認可保育所並みの月4万円程度ですむと試算。2018年度の予算案に盛り込み、1500人分として50億円を計上した。内閣府によると、都道府県のベビーシッター利用補助は「珍しい」という。
補助対象は0~2歳の待機児童を持つ保護者と、育児休業を1年間取得した保護者。認可保育所等の入所が決定するまで、つなぎでベビーシッターを使い就労する場合に適用される。
予算案発表の会見で知事は、
「(子どもが)1歳になるまで安心して育児休業を取得できる環境をつくりたい」
とも語った。保護者の多くが0歳児の間は子どもと一緒に過ごしたいとしつつも、年度途中からでは保育所に入れないため、育休を早めに切り上げている実態が背景にある。
東京都の待機児童数は全国の約3割を占め、13年以降、8千人前後の高水準が続いている。保育の受け皿は毎年増やしているが、就学前児童人口と保育所等利用申込率も同時並行で伸びているからだ。17年4月の待機児童数は8586人。保育所等利用申込率は44%だった。18年度予算では、申込率は5割を超えるとみて、待機児童数の2倍以上の2万1千人分の受け皿増を目指す。
「土地の取得や建物の建設の必要がないベビーシッターは、すぐ取り組める。緊急対策として盛り込んだ」
都福祉保健局保育支援課の担当者はこう話す。ワーキングペアレントにとって朗報ともいえるが、もちろん懸念材料はある。最も心配されるのはベビーシッターの「質」だ。14年には痛ましい殺人事件も起きている。この点について、都は一定の基準を設け事業者を選定するとしている。