オーガニック食品ブランドとして新たな挑戦をしているのは、ブラウンシュガーファーストの荻野みどりさん(35)だ。
「娘も会社も6歳です」
と笑う通り、11年、長女を出産後わずか4カ月で創業。商品の基準は「わが子に食べさせたいかどうか」だ。
「有機JASかどうかよりも商売のありかたが好循環を生むかどうかがオーガニックの定義だと思っています」(荻野さん)
タイやフィリピンなど海外8カ所にある生産工場は、品質はもちろん、児童労働の有無などを荻野さん自身が訪問して確認し、選んだところばかりだ。
15年、主力商品の有機エキストラバージンココナッツオイルが大ブームになった。競合銘柄は300種類以上。売ろうと思えばいくらでも売れたが、生産者に無理はさせたくないと「品切れ」を決断。その後、1瓶1780円の商品が図らずも、約8千円で売られる事態にエスカレートした。だがそれは、1年も続かなかった。
「食品業界に不慣れで風向きが変わったことが読めなかった。売り上げは鈍るし供給過多のラインも出て、しんどかったですね」(荻野さん)
だが、16年、17年は年商4億円をキープ。ピーク時に比べて落ちてはいるものの、新規購入者は減ってもリピーターが増えたことで、1人あたりの消費量は増え続けている。固定ファンは荻野さんがオーガニックのポリシーを守ったことをちゃんと見ていたということだ。
昨年7月からは、フードロスを減らす「#食べ物を棄てない日本計画」に取り組む。
日本で食べられるのに捨てられる食品は年間621万トン。うち6割が家庭、4割が食品業者による。荻野さんは、業界の慣習となっている「3分の1ルール」に目をつけた。賞味期限が12カ月のココナッツオイルの場合、4カ月が経過した時点で廃棄への道を歩み始める。そのはじかれた自社製品にもう一度チャンスを与えようというのだ。