●いちばん幸せな瞬間

香取:人とつながっていられることが、すごく幸せだと感じました。師匠もそうですけど、僕らのために信じられないくらいたくさんの方が集まってくださったことが、とにかくうれしかった。それが最後の涙につながったんですよ。僕は72時間、自分たちが頑張ったなんてまったく思ってません。振り返って「楽しかったな」「幸せだな」って感じられるのは、僕らの隣に必ず誰かがいてくれたから。そういう人たちへの「ありがとう」の気持ちが、最後に涙になってあふれ出たんだと思います。

綾小路:人って、一人で生きているわけではない。どこかでちゃんと自分のことを見てくれている人がいるんだね。

香取:それでいうと、インスタやツイッターで、ファンの皆さんと直接つながっていることも大きくて。僕は、新しく始まる自分の人生をゼロから頑張ろうと思っていたんです。でもファンの方たちが「ゼロなんかじゃない」って。「このコメントの数を見てください。応援している人が世界中にいます」とメッセージをいただいた。「ああ、ゼロじゃない。僕は一人じゃないんだ」って思い直しました。

綾小路:ファンの皆さんは宝だよ。私も、自分の漫談でお客さんがワァーッて笑ってくださった瞬間が、いちばん幸せ。

香取:自分の人生だけど自分だけじゃない。こうやって応援してくださる方も含めて、いまの僕がここにいるんですよね。

綾小路:これからは、どんな活動をしていくんですか?

香取:特に決めてなくて、本当に自由なんですよね(笑)。歌とかお芝居とかいろいろありますけど、必要としてくださる方がいるなら何でもチャレンジしていきたいです。

綾小路:最近は画家としての活躍もすごいよね。

香取:新しい挑戦を前に「いやいや無理でしょこれ!」って、頭を抱えているときが、実は一番楽しいんです。「無理」って言ってるけど、心のどこかで「できる!」って信じてる。「これから何が始まるんだろう」ってワクワクしているときが、一番幸せかもしれません。

綾小路:チャレンジャーだね。漢のなかの漢だよ。私がついていきたいくらい(笑)。

香取:師匠のこれからの目標は何ですか?

綾小路:私は、香取さんたち3人が10年、20年と、まだまだ成長していく姿を楽しみに見守って、エネルギーを分けてもらえたらうれしいな。次のオリンピックぐらいまでは、現役でやれたらいいなと思います。

香取:いやいや早いですよ師匠~、まだまだ!

綾小路:頑張りますよ。ろれつが回らなくなって、ごはんをこぼすようになるまでは(笑)。

香取:僕も「しょせん幸せなんて、自己申告」という師匠の言葉のように、最後に「幸せだったぜ!」って胸を張って叫べるような人生にしたいですね。そのために、応援してくださる方々と一緒に、一歩ずつでも前に進んでいきたいと思います。

(構成/ライター・澤田憲)

AERA 2017年12月18日号

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