今年、メジャーデビュー15周年を迎えた綾小路きみまろさんと、新たなスタートを切った香取慎吾さん。「唯一の師匠」「唯一の弟子」と認め合う二人が、新しい挑戦に秘めた思いを語り合った。
綾小路きみまろ:香取さんと「師弟関係」になったきっかけは、5年前の番組の企画だったね。その時に私の公演にも出て、一緒に漫談もやってくれましたよね。
香取慎吾:僕は師匠の「一番弟子」を名乗らせてもらって、「師匠」って呼ばせてもらえるのがすごくうれしいんですよ。
みなさん、仕事でご一緒する芸人の方を師匠と呼ぶことがあるじゃないですか。でも僕は、呼べないんです。弟子でもないのに「師匠」と呼ぶのは、どこか失礼な気がして。それでいうと、きみまろ師匠のことは心置きなく「師匠!」と呼べて、気持ちいい。
綾小路:私は芸人だけど、大きな会社に属しているわけではなく、ずっと一匹おおかみでやってきました。だから、話しやすい部分があるのかもね。
私も香取さんと出会って、活躍する姿を見せてもらって、尊敬する部分がたくさんあります。だって、10万人くらいのお客さんの前で歌って踊って盛り上げるなんて、とんでもないことですよ。やっぱりスーパースターだよね。
「中高年のアイドル」なんて言われてるけど、私はあなたみたいな「出待ち」なんて一人もいないから。公演が終わると、
「いけないっ、スーパーの特売の時間だわ!」って全員サーッと帰っていくから。
香取:コンサートなんかやるときは、衣装や照明、花火みたいな特殊効果とか、いろんな仕掛けがあってステージが作られてるんですけど、師匠の場合は、本当に一人ですもんね。広いステージの上に、水1杯と、マイク1本だけしかない。真剣勝負の逃げ場のない舞台に立ってお客さんを笑わせる姿は、やっぱりかっこいいです。
師匠が書いた『しょせん幸せなんて、自己申告。』に、「『できるかできないか』ではありません。『やるかやらないか』です」という言葉がありますよね。これ、胸に響きました。
綾小路:やっぱり前に進まないと足跡は残らないから。私は22歳のときに芸人の世界に入って、それから30年間もずっと売れないまま潜伏生活を送っていたんだけど、やらないで後悔するより、やって失敗して反省したほうがいいと、ずっと思って生きてきました。
香取:わかります。できるかできないかで悩む時間って、人生にいっぱいあるじゃないですか。でもそれが身になることって、あんまりないんですよね。やってみてうまくいったとか、失敗したとか、その経験のほうがいまにつながっているんです。