鳥取の自宅に帰ると、家の前で妻と2人の娘が大騒ぎしていた。犬にかまれたのか車にぶつかったのか、ケガをしたネコが家の前でうずくまっていたのだ。白と黒のブチネコだった。獣医に連れていき、しばらく石破家で世話をした。
「日に日に快方に向かい、10日足らずで元気になった。『このまま飼おうか』という話は出たんです」(同)
しかし、鳥取の自宅には常に家族がいるわけではなく、議員宿舎では規則があって動物は飼えない。
●ネコが異様に興奮?
結局、ネコを引き取ってくれる人を探し、運よくいい人を見つけることができた。
「お別れに、ネコに『にゃん太』と名づけ、『元気でね』と送り出した。わが家にとって、その年最大のイベントでした」(同)
さて、ネット界隈には怪しい噂がある。石破さんがテレビに映ると、ネコが異様な興奮を示す、というものだ。石破さん本人もその噂は知っていた。
「学者が私の声の周波数を分析したりしていましたね。でも、私に反応するネコもいれば、そうでないネコもいるという。当たり前ですよ」(同)
極めて冷静な反応だ。
「まーごとにゃーにゃはなついたけれど、ここのネコたちは寄ってきませんね。ネコもそれぞれなんでしょうなあ」(同)
残念そうにつぶやく。
「ネコから見れば、人間は巨大生物ですから、怖いと思いますよ。相手と同じ目線になるのは、人でもネコでも大切なことです。言葉に出さなくても、こちらが好意的なら向こうも警戒心を解いて寄ってくるが、そうでなければ寄ってきませんよね」(同)
そんな石破さんの周囲で、徐々に異変が起こりつつあった。
ネコたちのリーダー的存在のいっちゃんは、正座のまま思い出を語る石破さんと同じ姿勢で佇んだあと、目の前のちゃぶ台の下にとどまっていた。まるで側近かSPのようだ。警戒心が強く、普段は人間に目もくれないクマが石破さんを凝視していることに気づくと、スタッフがざわつきだした。