ウィッグは思わぬ形で届いた。
「地元の佐賀の人たちがボランティアで髪の毛を持ち寄り、ウィッグを作ってくださったんです。感謝でいっぱいです」
3月末には統一地方選が始まり、衆参補欠選挙も控えていた。地元の佐賀県では、統一地方選では、原口氏の元秘書らが県議や市議に立候補を予定していた。3月に入って少しずつ公務に復帰し、選挙の応援に駆け回るようになった。
原口氏の元公設秘書の江口善紀県議がこう話す。
「応援でマイクを握っていただいたのですが、イメージが変わって、『原口先生どうしたの?』とみんな驚いていました。きっと何か事情があるのだろうと思って、あえて聞きませんでした」
原口氏自身、当初は病名を公表するか迷っていたという。
原口氏の母は90歳と高齢で、体調も芳しくない。公表すると、原口氏の病気のことが耳に入り、心配するのではと気を使った。
「最初は母のことが心配でした。それに周りの方も気が付いているのでしょうけど普通に接してくださっていた。しかし、国会で質問したとき、答弁が木で鼻をくくったような内容で、髪の毛ないのを忘れて、思わず頭を触ってしまい、ウィッグの状態も崩れたのです。それがSNSで取り上げられました」
直後は「カツラが変」といった声も耳にしたという。
「いろいろなことを言ってくる人もいたけど、それだけ注目されていることの裏返しと考え、自分できちんと説明しようと思いました」
同じ病気で苦しんでいる人の存在も知り、その思いをさらに強くした。
「私は早期発見と治療で比較的早く復帰できました。公表することで、この病名を広く知ってもらい、早期発見と治療の大切さが認知されるきっかけになればとも思い、公表することを決断しました」
原口氏のツイッターのフォロワーは約26万人いる。その影響力は大きい。
「最近は、ますます励ましの言葉をかけてくださる方が増えました。とてもうれしいです」