ぼくたちはこの状況を恥じなければならない。高齢化が進むなか、若い世代の政治参加も求められている。子育てが若い女性の政治参加を妨げるなら、ただちに対策を取るべきだ。議員の声を封じてはならない。
それにしても、日本における女性の地位の低さは一種異様なものがある。先日、世界経済フォーラムが発表したジェンダー格差指数では、日本は144カ国中114位だ。たいへん深刻な数字だが、より深刻なのは、多くの日本人がこれを問題だと感じていないことである。数字ではたしかに低い、でも数に表れないところでは日本の女性は活躍している、と男女ともに思っているふしがある。
私見では、その背景には日本独特の文化環境がある。日本の大衆文化では女性の存在がきわめて大きい。政治家が女性アイドルのファンであることを公言し、広告会社はつねに女性消費者を気にしている。けれどその状況が逆に人々の目を眩(くら)ませているところはないか。女性的感性を文化的に愛めでることと、現実の女性を政治的に包摂することはまったく違う。両者を混同してはならないのである。
※AERA 2017年12月11日号