

新宿区立漱石山房記念館の開館記念イベント「漱石と日本、そして子どもたちへ」で、作家の半藤一利さんとアニメーション映画監督の宮崎駿(はやお)さんの対談が実現した。
対談が行われたのは、10月28日。あいにくの天気にもかかわらず、会場は漱石ファン、半藤ファン、宮崎ファンで満席に。
宮崎駿さん(76)は、半藤一利さん(87)に近況を尋ねられると、世界中のファンが心待ちにする制作中の長編アニメーションのタイトルをいきなり公表。冒頭から会場がどよめいた。
その後は、半藤さんが宮崎さんに繰り返し、漱石山房記念館のための短編の制作を依頼。それを宮崎さんがかわしつつ、対談は進んだ。
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半藤一利(以下半藤):宮崎さんと私は4年前、『半藤一利と宮崎駿の腰ぬけ愛国談義』(文春ジブリ文庫)を出したときに、長時間、何度も会っているんですね。そのときに宮崎さんは、「アニメーションの長編映画からは引退する」と盛んに言われていました。もったいないなと思ったんですよ。だいたい、宮崎さんは私より10歳も若い。私がまだ働いているのに、宮崎さんがなんで……と思ったもんでございました。近頃拝見しておりますと、復帰なさったようで……。
宮崎駿(以下宮崎):煩悩のなせるわざでございまして、また手を出しております(笑)。映画の題名は、吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』をそのままもらいました。その本が主人公にとって意味のあるものになる予定です。まあ、あと3年か4年はかかるでしょうけど。