白石容疑者が住んでいたアパート。「#自殺募集」などのハッシュタグが入った投稿を検索して被害者と接触したと見られている (c)朝日新聞社
白石容疑者が住んでいたアパート。「#自殺募集」などのハッシュタグが入った投稿を検索して被害者と接触したと見られている (c)朝日新聞社
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 思春期の生きづらさを利用し、毒牙にかけたのか。座間事件の犠牲者には15歳の少女もいた。危険性が指摘されるSNS。だが、利用規制だけでは解決にはならない。

 神奈川県座間市で9人の遺体が見つかった事件は被害者全員の身元が判明した。警視庁の情報によると、高校1年の女子(15)や高校2年の女子(17)をはじめ3人が、18歳未満だった。死体遺棄容疑で逮捕された白石隆浩容疑者(27)はツイッターを通じて被害者と知り合ったと話している。事件について菅義偉官房長官は「人の目の届きにくいSNSを利用した極めて卑劣な手口」だと厳しく批判。11月10日には関係閣僚会議を開き、自殺に関する不適切な書き込みの削除や制限の強化、ネットを通じて自殺願望を発信する若者の心のケアなどを指示した。

●出会い系からSNSへ

 これに先がけてツイッター社は利用規約を更新し、自殺や自傷行為の助長や扇動を禁じると明記した。該当するツイートには削除やアカウント停止などの措置を行い、また自殺をほのめかすようなツイートには専門家への相談を促していくという。しかし、

「具体的に『この言葉がアウト』というものはつくっていない」(広報担当者)

「一緒に死んでくれる方を募集しています」「#自殺募集」という投稿や「よかったら、一緒にやりましょう」というリプライが今も飛び交っている。

 SNSを介して犯罪被害にあう子どもたちは増加する一方だ。警察庁によると、2016年にツイッターなどのSNSがきっかけで児童買春や児童ポルノの性犯罪被害などにあった18歳未満の若者は1736人と過去最多。08年の出会い系サイト規制法改正で18歳未満の利用が禁止されたことが背景にある。中でも匿名で利用できるツイッターを通しての被害は急増しており、16年の被害者数は15年の約2倍に。

●過剰な利用制限は危険

「私にとって息をするのとつぶやくのは同じ」

 と言うのは、東京都内の私立高校1年生の女子(15)。普段から八つのツイッターアカウントを活用し、調べものをするときもグーグルやヤフーではなくツイッターで検索しているという。

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