ブ:はい。自然に出てくるものではなく、相当楽譜を研究した結果としてメランコリックな要素が出てくることもあります。

恩田:ブレハッチさんが理想とするイメージがあってそれに近づけるのか、それとも理論的に構成を考えた上で近づけていくのか、どちらでしょう。

ブ:曲にもよりますが、楽譜を見た瞬間から理想はこうだと浮かんでそれをめざすべく練習するものもあります。あるいは解釈を続けていくうちにようやく見えてきて形になるものもあり、いろいろですね。

恩田:毎日の練習はどれくらいなさっているのですか。

ブ:ツアーの途中なのか、家にいられる時なのかによっても違いますが、今のように日程の詰まったツアー中ですと1日4~5時間以上弾くことはありません。でも家にいる時は、6時間以上は練習します。

恩田:今でもどなたか先生について勉強を続けていらっしゃるのでしょうか。

ブ:今は定期的に習っている先生はいないんです。一人で研究し、練習し、音楽をつくっています。でも、必要があれば世界中でお会いする素晴らしい音楽家に相談したり、お話を伺ったりします。ピアニストだけではなく、指揮者に相談することもありますね。指揮者でありチェンバリストでもあるトレヴァー・ピノックさんなどとは実際に練習もしますし、よい意見交換ができています。

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