ブ:クラシック音楽をよく知らない人は、私の演奏を聴いても「ああ、ショパンだ」としか思わないかもしれませんね。ショパンは特別なスタイルで書かれた音楽ですので、どう弾けばいいというレシピはありません。ピアニストがそれぞれ個人的に研究を深めるしかなく、多くの人が悩み、苦しみ、その中から何かを得ていくのだと思います。何かを得るためにはそれぞれの心に聞いてみないといけない。その上で心の奥底から湧き出てくるものがショパンらしさでしょう。ただし、あまりロマンチックにしすぎないことが重要だと思います。
恩田:今回ブレハッチさんのいろいろな録音を聴かせていただきましたが、どれも音が素晴らしくて感激しました。ショパンの「ポロネーズ集」では、初めてポロネーズとはどういう曲なのか、わかった気がしています。ポロネーズはポーランド風の「舞曲」ですし、勇ましくて儀礼的な曲だと思っていましたが、本当はメランコリックというか、どこかやるせないものがあるのだと感じました。そういうことも考えながら弾いていらっしゃるのでしょうか?