ソチ冬季五輪で銀メダルを獲得したスノーボード女子アルペン・竹内智香選手が「AERA」で連載する「黄金色へのシュプール」をお届けします。長野五輪を観て感動し、本格的に競技をスタート。2018年2月の平昌五輪では念願の金メダル獲得を目指す竹内選手の今の様子や思いをお伝えします。
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先日まで行っていた夏の合宿。ここ数年はニュージーランドでトレーニングをしています。夏の遠征は気分転換も兼ねているところがあります。日本でハードなフィジカルトレーニングを続けた後、ようやく山に登って雪の上に立つ。それだけで清々しい気持ちになるものです。
もちろん、マテリアル(道具)の感覚をつかんだり、滑りの感触も確かめたり。まだそれほど急ピッチの調整が必要な時期ではありませんが、充実した日々を過ごすことができました。
私は普段から早起きですが、合宿中の起床時間も早く朝4時です。そこから朝ごはんの準備をして、5時ぐらいからトレーニングに向けたウォーミングアップをします。そして6時から朝食を食べ、9時には山に登って約2時間滑り続けます。下山した後は昼食をとり、そこからジムトレーニング。最後に体のケアをして夕方にすべての工程を終えます。いつもコンドミニアムを借りてみんなで生活するので、食事も基本的には自炊。私とコーチが交互にみんなのご飯を作ったりしています。料理は結構やりますよ。私が作ると和食中心ですね。
ニュージーランドに行っても本当に周りの人たちの助けがあって、私のトレーニングは成り立っています。数年前に知り合った現地在住の日本人家族が複数いて、今回も食材や調味料を貸してもらい(笑)、みんなで一緒に食事もしました。またニュージーランドを拠点にしているスノーボード関係者の方々には、優先的にスキー場コースを滑らせてもらったり、荒れたところをすぐに整備していただいたりしました。どこに行っても、誰よりも良い環境で滑らせてもらえている。本当にありがたいことです。
そんな中、今回は新たな試みとして3種類の長さのボードをテストしました。今まで使っていた173センチ、178センチ、そして新型も。今は世界的に長いボードを選択する傾向になっています。アルペン競技は男女のタイムに10%ぐらいの差が生じます。男子が40秒なら、女子は44秒。その差はもちろんフィジカルからくるものでもありますが、ボードの長さも関係しています。でもそれだけでもない。タイムを縮めるためにすべての可能性を見据えて色々なテストをしなくてはいけません。平昌五輪に向けて、そんな改善への意識をあらためて高めることができた合宿でもありました。
※AERA 2017年10月9日号