その理由のひとつは、法規制の整備だ。改正資金決済法が4月に施行され、仮想通貨取引所は10月から金融庁による登録制となる。
「登録制で利用者が安心して使えるようになり、証券会社なども仮想通貨取引を扱うようになれば、新規の投資家が増えてくる」(小田さん)
●ギャンブルのひとつ?
また、仮想通貨は投機対象であるだけでなく、実用面での可能性が大きいのも、もうひとつの理由だ。
「日常生活での利便性が重要です。仮想通貨では海外送金や決済が短時間でできたり手数料がかからなかったりと、便利になります。こうした活用が今後進んでいき、仮想通貨の価値が高まっていくと考えています」
と小田さんは説明する。
こうした状況から、仮想通貨取引は今後も増え続け、投資対象とする人も増えるという見方は強い。
ではこれから仮想通貨に投資をするなら、気をつけることは何か。前出の大塚さんはこう話す。
「仮想通貨は少額からでも購入できます。まずは500円など少しずつ試してみて、増やしていくのがいいでしょう。運用する場合は、リスクを学び許容できるリスクの範囲内で投資して下さい。仮想通貨は技術としてもまだリスクがあります。なくなってもいいお金で運用するという考え方です」
一方で金融ベンチャー経営者の男性はこう話す。
「現状の仮想通貨は投資対象としては、私は極めて懐疑的です。ギャンブルのようなものではないでしょうか」
ビットコインなどの仮想通貨は、もともとは仮想通貨を支える技術に詳しいエンジニアらが勉強をかねて購入してきたケースが多い。そのため、冒頭の男性のように、プログラムによる自動売買をする人も少なくないという。特に技術にあまり詳しくない人にとっては、仮想通貨投資はギャンブルのひとつと考えたほうがよいのかもしれない。
(編集部・長倉克枝)
※AERA 2017年10月9日号