民進党をのみ込み、一大勢力に化けつつある希望の党。はや政権交代の声も聞こえてくる。小池百合子の胸中は。
希望の党の所属議員の一人は9月25日、テレビで結党宣言を聞いた。小池百合子・東京都知事側近の若狭勝前衆院議員と細野豪志前衆院議員が進めていた新党設立はリセット。小池氏が代表に就き、新党の名前が「希望の党」になることを初めて知った。27日には東京都内のホテルで小池氏が新党の綱領を発表する記者会見を開いたが、希望の党関係者はこう振り返る。
「前日午後の段階でも、会見場所や時間すらわからない。若狭氏を中心に準備してきた新党とは別に小池氏が党をつくるのではないかと疑心暗鬼になるほど、何もわからない状態でした」
投開票日まで1カ月を切るなか、制作中の選挙ポスターは小池氏の写真が入るスペースをあけて準備した。希望の党のロゴマークは小池氏が25日の会見で掲げたボードを参考に、印刷業者にフォントや色を問い合わせ、制作を進めた。
小池劇場が始まった。25日の会見は、上野動物園のパンダの赤ちゃんの名前を公表する都庁での会見の30分後に急遽設定された臨時会見だった。当然、集まった報道陣はすべてその場に残った。
「突然の発表でメディアの注目を集め、安倍晋三首相の解散会見日に合わせることで、テレビや新聞の横並びで、“対安倍”を強烈に印象づけた。パンダの名前を会見前にメディアに流させ、臨時会見に集中させる仕掛けもあった。メディアの使い方を熟知している」(民進党関係者)
●女性初の総理の座
永田町も揺れた。自民党の平沢勝栄前衆院議員(東京17区)は、こう危機感を募らせた。
「東京都議会選挙のときのようにメディアが連日また小池氏を取り上げれば、相当厳しい選挙戦になる。すでにワイドショーも小池一色になっている」
小池氏自らが急転直下に走り出した経緯を政治ジャーナリストの鈴木哲夫さんはこう話す。
「11日に小池氏は若狭氏、細野氏と会食をしているが、政策や候補者選定など新党準備が進んでいない。しびれを切らし、自分が動かなければとなったとき、解散報道が出た。時間の余裕もなく、自分が出るしかないと判断したのではないか」
そして、こう続けた。