

世の中に浸透する一方で、「非科学的」と眉をひそめる人も多い「占い」。しかし、個人の選択肢が増えすぎ、経験則が必ずしも通用しない現在、「信じる」「信じない」ではない「占い」とのつきあい方があるという――。AERA10月2日号では、「占い」を大特集。金融やマーケティング、カウンセリングなどの世界で「占い」がどう活かされているかを探り、現代社会における「占い」のあり方を多角的に取材した。
スマホの普及でカジュアル化した占い。アイスにも、駅の液晶モニターでも目にする。漫画やゲームなどのエンタメに押されていた占いが、静かに逆襲を始めている。
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朝の情報番組で扱う星占いコーナーから始まり、占いコンテンツは日常生活のあちこちで目にする。アエラネット会員に行った占いに関するアンケートでは、「星占いは毎日テレビで見ている」(39・女性)、「毎日服装にラッキーカラーを取り入れる」(47・女性)という声があった。
アイスの「ピノ」を食べると、通常の丸形以外に星形やハート形をときどき見つける。珍しいので「幸せのピノ」などと呼ばれて親しまれており、メーカー側はその存在を正式発表していないにもかかわらず、当たる確率を検証したウェブサイトまである。番号のふられたブルーのピックにも、占いを使った仕掛けがある。ホームページで調べると「今日のあなたの成分チェッカー」といった具合で占える。番号の説明を、商品ではあえてしていない。
「見つけた時、ハッピーになってほしいという思いがある。口コミから広がることが理想です」
森永乳業冷菓事業部の馬渕景士さんは言う。
●広告媒体の価値上げる
JR東日本の駅構内、売店横にある液晶モニターには、お菓子などの広告と一緒に、星占いのランキングが一部放映されている。ジェイアール東日本企画デジタルサイネージ推進センター長の山本孝さんはこう言う。
「ふと足を止めてもらうための身近な情報として放映しています。広告媒体の価値を上げるものとして占いは有用です」