
仕事と子育ての両立は、どうしてこんなにつらいのか。そう感じながら、毎日必死で走り続けている人は少なくない。待機児童のニュースを聞くたびに、上司や同僚に気を使い、後ろ髪をひかれながら会社を後にするたびに、いつになったら楽になるの?と思ってしまう。小学生になっても、ティーンエイジャーになっても新たな「壁」があらわれると聞けば、なおさらだ。AERA 2017年9月18日号は「仕事と子育て」を大特集。
小学生になると新たに直面するのは「預け場所」問題だ。創立記念日や運動会などの振り替え休日……暦通りではない小学校の休みは特に悩ましい。
* * *
右手にカレンダー、左手に子どもの学校行事表。二つを見比べて、思わずため息をつく。
神奈川県在住の公務員の女性(44歳)は、中学1年生(13歳)と小学3年生(8歳)の息子を育てながら市役所で働いている。部活に明け暮れる中学生の長男は問題ない。悩ましいのは、小学生の次男の「イレギュラー」な休日だ。小学校の創立記念日、市制記念日、運動会・土曜参観やバザーの振り替え休日、そして2学期制の秋休みなど、暦通りではない小学校の休みが年に約10日ある。
●学童にも待機児童
「この10日の休みに合わせて年度はじめに有休を申請しているんですけど、仕事の進捗や他の職員との兼ね合いで実際に休むのは難しいときもあって……」
理想は夫とともに休みを取り家族で遠出することだが、夫(44歳)は雑誌編集者で勤務時間が不規則なうえに、子育ても家事もお手伝い気分。子どもの学校のスケジュールすら把握しておらず腹が立つこともある。女性が仕事を休むか、学童保育に預けるか、ママ友にお願いしてどこかに連れて行ってもらうか。実際の選択肢はこの三つだ。
女性は7年前まで民間企業に勤めていた。体育会系のいわゆるブラック企業で、子どもの運動会でも休ませてもらえない同僚を見るたびに不安になった。何より会社全体が祝日も勤務日で、祝日は公設も民間も学童保育がやっていないため、夫が休むか両親に頼るしかない。このままでは子育てができないと思い、長男が小学校に進学するタイミングで勤務日程が安定した公務員に転職した。そこに立ちはだかったのが、このイレギュラーな学校独自の休みだった。