もちろん対話も選択肢の一つですが、これは前提条件がネックとなっています。北朝鮮の言い分は核保有国として認めろということですが、米国がそれを認めて交渉をするのは難しい。経済制裁もうまくいかないし、本当に話し合いで解決できるのかと考えると、結局は軍事行動もあるかもしれないということになる。軍事行動の中でも比較的被害が少なくなる方法が練られている可能性はあります。検討されているとしたら、それは絶対に公言しない。むしろ言及されないことの中に実行しようとしていることが隠されているかもしれません。
北朝鮮の核保有は止められないから、韓国や日本も核武装させるべきだという論調も米国の一部にあります。それも含め、本気で北朝鮮とのディール(取引)を考えてしまうかもしれない。トランプ大統領なら、そういう懸念も当てはまるかもしれません。
一方で、軍事的な知識や経験がないことを自覚しているトランプ大統領は、マティス長官を信頼し、その助言には耳を傾けています。マティス長官は計算に計算を尽くして行動する人だから、安易な決断はしない。米国の動きを握るカギはマティス長官だと考えます。ただし、彼は、トランプ大統領が安易な発言をした時にはバランスをとる意味で逆のことを言う場合がある。トランプ要因を加味したうえで、冷静にマティス長官の意図を読み解く必要があります。
(構成/編集部・山本大輔)
※AERA 2017年9月18日号