西武池袋本店9階屋上、食と緑の空中庭園は2015年4月末にオープン。屋上担当の佐藤栄一さんによると、「年間の来場者数は約140万人で、リニューアル前の5倍。ファミリー層のお客様が増えた」という(撮影/今村拓馬)
西武池袋本店9階屋上、食と緑の空中庭園は2015年4月末にオープン。屋上担当の佐藤栄一さんによると、「年間の来場者数は約140万人で、リニューアル前の5倍。ファミリー層のお客様が増えた」という(撮影/今村拓馬)
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「天空のビアテラス」では、スタッフがサーバーの注ぎ方をレクチャーすることも。異なる種類のビールを掛け合わせ楽しむ人もいた(撮影/今村拓馬)
「天空のビアテラス」では、スタッフがサーバーの注ぎ方をレクチャーすることも。異なる種類のビールを掛け合わせ楽しむ人もいた(撮影/今村拓馬)
キリンが今夏から全国展開を始めた新サービス「ホームタップ」の専用サーバー。工場直送の本格的な生ビールを家庭などで気軽に楽しめる(写真部・岸本絢)
キリンが今夏から全国展開を始めた新サービス「ホームタップ」の専用サーバー。工場直送の本格的な生ビールを家庭などで気軽に楽しめる(写真部・岸本絢)
仕事帰りの会社員で賑わう、新丸ビル1階のSTAND T。7月末から、クラフトビールの種類も増やし、提供する予定という(撮影/伊ケ崎忍)
仕事帰りの会社員で賑わう、新丸ビル1階のSTAND T。7月末から、クラフトビールの種類も増やし、提供する予定という(撮影/伊ケ崎忍)

 ビアガーデン人気が止まらない。デパートやビルの屋上のみならず、レストランやバーのテラス席が人気を博し、見渡せば、駅でも、屋上でも、人々は杯を交わしている。人はなぜ、ビアガーデンに向かうのか。

 7月の土曜日。営業開始の16時前から人が集まりだしていた。家族連れ、女性同士、男性同士のグループ。緑化された壁面の緑が目を引くが、日はまだ高く、熱気が残っている。

 東京・西武池袋本店9階屋上の食と緑の空中庭園では、4月末から10月初旬まで「天空のビアテラス」と銘打ち、ビアガーデンを営業している。あちこちから聞こえるのは乾杯の発声。サーバーのもとにはジョッキ片手に客がひっきりなしに訪れる。ビール、黒ビール、サワー、ワイン、各種ソフトドリンク。

 この日、「どうしてもビアガーデンに行きたい」と訪れた20代の女性2人連れは、中高時代の同級生で社会人4年目。バーベキューをつつき、時折スマホを覗きこみながら、懐かしい話に花を咲かせていた。

 女性客は多い。友人と屋台料理を楽しむ30代女性がここを選んだ理由は開放感だという。

「最近、野球観戦にハマっていて、週末は頻繁にホームチームの屋内ドームにいます。先日、はじめて明治神宮野球場に行ったのですが、格段によかった。ここもそう。屋外は気分の上がり方が違います」(30代女性)

 見渡すといつの間にか満席。宵が深まり、庭園を彩るウォーターテーブルや草花がライトアップされる頃合い、空は茜や紫が混じり、マジックアワーのような趣が出る。

 子どもを遊ばせながら語らう夫婦もいれば、豪快に飲み続ける男性グループや老紳士の一団、見つめ合う恋人同士もいる。晴れた夜空の下、それぞれがそれぞれの世界に没入している。

●「レジャーとして定着」

 ビアガーデンといえば今、異変が起こっている。もはや、会社帰りのおじさまたちが訪れるレトロな飲みの場ではなくなり、老若男女が訪れる憩いの場所に進化した、というのだ。

 ビアガーデン評論家でトレンドウォッチャーのカシハラヒデコさんは、10年以上にわたり、全国のべ500軒ものビアガーデンを訪ね歩いてきた。

 カシハラさんによると、ビアガーデンの変化はまず、リーマン・ショック後に現れた。

「今でこそ当たり前ですが、食事と飲み放題がついて4千円前後という価格設定に、お得感もあったのでしょう。屋外の開放感と、バーベキューや屋台料理などイベント感も味わえる手近なレジャーとして定着した印象です」(カシハラさん)

 5、6年前になると、女子会ブームも重なり、2007年当時は都内で30軒足らずだった都内のビアガーデンが、現在は200軒に迫る勢いという。

「客層の女子率もかなり上がりました。以前は3割程度という印象でしたが、女子層をターゲットにしたビアガーデンも登場し、客のほとんどが女子というところもあります」(同)

 主宰する「東京ビアガーデン制覇クラブ」の会員は男女半々だが、実際の飲み会に参加するのは7割が女性だ。

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