タクシー業界のダイナミックプライシングについてはどうか。

「状況次第では、高い料金を払ってでも乗りたいお客さまはいらっしゃると思います。例えば、深夜や雨の日でタクシーがなかなか乗れない場合に、料金が多少高くなっても確実に乗れるならば気にされないようなケースです。一方で、平日の午前などに料金が安い時間帯が設定されるとすると、通勤時などに手軽に乗るお客さまが増える可能性もあると思います。ただし、変動価格の料金設定にあたり、『雨の日のタクシーにいくらまで払えるのか』といったような顧客の目線を加味しなければ、提示した料金が極端に高いと感じられて、そもそものタクシー利用率が下がる恐れもあります」と評価した上で、こう続ける。

「タクシーの利用率が下がった場合に、ダメージを受けるのはタクシー事業者とドライバーの皆さまです。地域によって初乗り料金は違うし、利用客の傾向も異なると思います。現場のドライバーの声、タクシー事業者の考え、顧客のニーズなど様々な要素に優先順位をつけて複合的な視点で目的を定めて運用することが重要です。ダイナミックプライシングを導入したからといってプラスアルファが生まれるとは限りません。問題は定めた目的に沿ってどのように 運用するかです」

 ダイナミックプライシングは、タクシー業界に浸透するのだろうか――。

(今川秀悟)