●直近に世界遺産も

 2日目は、20キロほど走ったところにサン・ティボーの教会、山をググッと上れば、映画「ショコラ」の舞台にもなったフラブニー村。空港でも販売されている飴「アニスのボンボン」を作っている。

 さらに進むと、右手にローマ皇帝カエサルがゴール人と戦った古戦場跡、博物館前にはゴール人の要塞も復元されている。目的地モンバールの手前3キロで、必見ポイントのひとつ、世界遺産フォントネーのシトー会修道院への道案内。運河から5キロほどだが、どのスポットに行くにも運河から「上ら」なくてはならないのが、この旅唯一の泣きどころ。余力十分ならば! う~む、泣く泣く断念。

 モンバールの博物館は、世界中から収集された鳥のデッサンが見事だ。ホテルで夕食、骨付き羊肉の煮込みが豪勢で感激!

●ミステリアスに霧の中

 3日目、出発して10キロほどの、運河脇にあるフォルジュの水車小屋は美しい。10時の開館時間に合わせてスタートすることをおススメする。

 4日目、シャブリの入り口に位置する、美しい「泉」のあるトネール発。朝からミステリアスな濃霧。霧の多いブルゴーニュならではの天気だ。この日は、途中3キロぐらい、タイヤ一本ほどの道幅の区域があるものの、あとは快適。堰と堰の距離が長くなり、下界に降りてきているなあ、という気分になる。

 終着点まで残り20キロほどのところにあるサン・フロランタンのカフェで休憩。山上に教会、小さな山に人々が暮らす、フランスの典型的な田舎の町は、一泊したい魅力に溢れている。

 トネール同様に美しい泉のあるブリアノン村で教会の正午の鐘を聞きながらサンドイッチの昼食、3ユーロ。安くて旨い! やがて、セーヌの支流である、豊かな水量のヨンヌ川との合流地点にあるミジャンヌの町に。「水豊かな地」に人あり、だ。

 しばし、旅の余韻に浸った後は(私の場合はパイプを一服)、鉄道でディジョンに。列車なら4日間の旅がわずかに1時間半。

 車窓を眺めながら、「あのあたりは──」と、まるで、誰も知らない秘密を持ったようで、ちょっと楽しい。フランスでは、自転車をそのまま持ち込んで電車に乗るのは一般的だ(無料/TGVに限って持ち込み料金10ユーロ)。

 日程に余裕があるのなら、ワイン街道も巡ってみよう。目指すのは、世界中のインポーターが毎秋集まるボーヌ。ディジョンから45キロほど、中間点のニュイ・サン・ジョルジュまで電車で行くという手もある。これなら約20キロ。

 黄葉の季節が美しいワイン街道だが、極上のワインを生む「ぶどう畑」は、やはり必見!(フォトジャーナリスト・大津慎一)

AERA 2017年7月17日号

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