「サッカー選手であれば『脚』を鍛えればいいと思われがちですが、僕が一番に心掛けていることは『バランス』です」 (※写真はイメージ)
「サッカー選手であれば『脚』を鍛えればいいと思われがちですが、僕が一番に心掛けていることは『バランス』です」 (※写真はイメージ)
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 独ブンデスリーガのマインツに所属する武藤嘉紀選手が「AERA」で連載する「職業、ブンデスリーガー」をお届けします。大学在籍時からFC東京に所属し、日本代表にも選出。現在はマインツで活躍する武藤選手が異国の地での戦い、生活ぶりをお伝えします。

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 試合に追われるシーズン中とは異なり、オフ期間はじっくりと体づくりに取り組める良い機会でもあります。いったん体を休め、心の充電をはかった後、本格的にトレーニングをスタートしました。

 日本では、「テラさん」こと寺田拓司トレーナーに付いて、トレーニング方法や、体や筋肉に関する知識も学ぶ時間が続いています。それも、与えられたメニューをこなすのではなく、常に自分の体と向き合い、状態を探りながらアドバイスを受け、まさに二人三脚といったところでしょうか。「なんとなく数をこなして」というところから、「自ら筋肉を動かして、自ら強くしよう」と意識を変えることで、効果の表れ方も変わってくるように感じ始めています。

 サッカー選手であれば「脚」を鍛えればいいと思われがちですが、僕が一番に心掛けていることは「バランス」です。

 たとえば、平行棒のような器具に、ひじから先の両腕を乗せて体重を支え、脚を空中に持ち上げ、左右に振る……という腹筋を主にしたトレーニングがあるのですが、テラさんからは「一般的なサッカー選手であれば、脚が重すぎてうまく持ち上げられない。何回も続けることができない」と言われます。

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