

2030年。あなたの子どもは何歳だろうか。ちょうどこの頃、社会の中核を担うのは今の中高生だ。AI(人工知能)の進化で仕事も働き方も急速に変わり始めた。変化の加速度を考えると、学校選びの基準もこれまでと大きく違ってくる。もう「教育改革」など待っていては、わが子の成長に間に合わない。AERA 2017年6月5日号では、「AI時代に強い中高一貫・高校選び」を大特集。
今の子どもたちが大人になる頃、新たな産業革命期が花開くと言われている。「インダストリー4.0」とか「第4次産業革命」などと呼ばれる、次なる産業革命だ。
第1次は機械、第2次は電気、第3次はITときて、今回第4次の主役は、人工知能。いよいよ人の仕事がなくなるかも。そんな未来を危惧する声は多い。
最初の産業革命は、1780年代から1830年代にかけてイギリスで起こった。蒸気力で動く機械の登場で、これまで家内制手工業が担っていた経済が一変、機械による大量生産が可能になり、多くの職人たちが仕事を奪われた。
●産業革命で通勤も登場
産業革命は人々の暮らしも変えた。イギリス産業革命史を専門とする友松憲彦・駒澤大学名誉教授はこう話す。
「それまでの手工業では、労働する場所と、生活する場所はたいてい同じ。機械が置かれた工場に人が出向いて働く、通勤という概念が生まれたのも産業革命からです」
私たちが毎日満員電車にゆられるのも、元を正せばこれのせいってことになる。そしてここからが本題。こうして200年経ったあとも、遠く離れた日本で恨みを買う産業革命だもの。当時、仕事を奪われた織物工業の職人たちの反発はすごかった。とくに産業革命の始まりから30年ほど経つと、その反発は暴動に発展していく。
「失業者たちが工場を襲撃して機械を壊したり、機械を発明した人が恨みを買って襲われたりする破壊運動が起きる。ちなみにこの暴動で逮捕された人のなかには、流刑でオーストラリアに流され開拓労働に使役された人もいます」(友松教授)
そんな混乱が収束したのは、産業革命が始まって70~80年ほど経ったころ。