ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 一度書いておきたいと思っていたんですが、日本のいわゆるエリートたち(東大などを卒業した高学歴の人たち)というのは、子どもの頃からきちんとした教育を受けて、キャリアを積んできた人たちなわけです。彼らこそが日本のために前面に立ってリスクを負わなくてはならないのに、そういう人たちに限って、役所や企業の上層部にいて、自分だけ常に安全地帯にいられるように動き回っている印象が非常に強い。

 社会を背負うべく教育されてきたんだから、彼らがリスクを負って事をなさねば、会社にしても地域にしても、ましてや国はよくなるはずはないと思うんですよ。

 アメリカにはとんでもないエリートがいるわけですが、彼らがやっていることは、リスクリスクと騒ぐことではなく、まさに社会の先頭に立って、時代を切り開くこと。ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズはもちろん、ジェフ・ベゾス、イーロン・マスク等々、こういった新しいビジネスを起こす人たちは、ピカピカの学歴を持っているスーパーエリートたち。彼らは事業の結果に責任を負っている。

 日本では逆で、エリートと言われる人たちは役所や大企業にみんな行ってしまい、しかもその組織の中で自らは安全を保ちリスクを取らず、(上から目線で)あれこれダメ出ししているだけ、という場合があまりにも多い。責任をだれも負わないので、組織としては停滞していく。

 さらに、そもそも論でいうと、税金の分配を決める役人には、利益を出すシステムや苦労を知っている人が全くいない。それを知らないで税金の分配を決めるので、とんでもないものに金を出すことになるし、今の日本の社会で消費税を増税すると何が起きるかなんてことすら微塵も想像できないという恐ろしい事態が起きるわけです。これは地方公務員も同じ。税金の元になるものをつくり出す経験もない人が分配できると思うことが大間違いでしょう。

 これと同じ事が私が1980年代に仕事をしていたソビエト連邦で起きたのです。スーパーエリートたちが何の経験もないままに、知識だけで国家を統制することに専念していたら国が潰れてしまった。これはもう社会主義云々以前の問題で、今の日本の状況はあの当時のソビエトとよく似てるな、と真剣に思います。

AERA 2017年6月5日号