●めぐりめぐってかなう
結果2度とも落選しましたが、やりきった気持ちでした。当時妻が東京で仕事をしていたので、転がり込む形に。姑と同居していたので、妻や子どもが出かけたあとは、部屋に二人きり。姑は一言も責めませんでしたが、いたたまれなかったです。これからどうすればいいのか、無気力のまま半年を過ごしました。
ほとんど出かけませんでしたが、ある日たまたま食事に出かけた先で、転職エージェントをしていたリクルート時代の後輩に会ったんです。このご縁で、何社か紹介してもらいました。
実は「政治色が付いている」と、何社かは断られました。でも雑誌「経済界」の社長が「それでも構わない」と採用してくれました。給料はかつてよりは下がりましたが、ありがたかったです。
候補者時代のネットワークを生かして、菅義偉官房長官や小池百合子都知事、小沢一郎議員など、大物政治家のインタビューも実現。それまで政治のコーナーが少なかったので、誌面の充実化に貢献できました。
今年2月、3年間お世話になった会社を卒業し、現在は人材関係のIT会社で働いています。リクルート時代の後輩が社長なんです。ご縁ですね。今は、人手不足で悩む自治体と組んで雇用を増やす仕事をしています。20年前の「自治体と仕事がしたい」という思いが、めぐりめぐってかないました。
(構成/編集部・市岡ひかり)
※AERA 2017年5月22日号