●支持率は最低の36%

 米メディアはほどなく、ニューネス委員長の情報入手場所が、ホワイトハウスの敷地内であったことを暴いた。さらに30日には、ニューヨーク・タイムズが情報源として、ホワイトハウス付きの国家安全保障担当職員2人を実名で報じた。

 あたかもトランプ大統領のツイートを正当化するために、政権と議会の要人が結託したかのようなシナリオが浮かび上がる。

 ホワイトハウスはもはや過去の伝統や手続き、品性などは影も形もない、魑魅魍魎の伏魔殿になってしまったのか。

 政権発足後、わずか70日あまりで、ホワイトハウスは逆風にさらされている。公約の目玉の一つで、トランプ支持者が熱狂的に支援する医療保険制度改革(オバマケア)の代替法案も下院で撤回された。過半数の議席を持っている共和党内での不協和音が響き、票がまとめきれなかったからだ。共和党保守派の不興を買い、きっかけを作ったのが、大統領首席戦略官のスティーブン・バノン氏の一言だった。

「討論も議論もない。投票だ」

 三権の一角をなす議会に対する無知な発言だ。法案の撤回は世界的な株価下落を招き、大統領支持率は3月29日現在、就任以来最低の36%にまで落ち込んでいる。

 大統領の最大の敵は、お得意のビジネスは全く通用しない首都ワシントンだ。厳然と築かれた政治家の世界。ホワイトハウスの混乱は続く。

(ジャーナリスト・津山恵子)

AERA 2017年4月10日号