「一生、政治と歴史の話はしないでおこう」と言った。政治と歴史の話は「終着点」がなく、口にすれば争いにしかならない。
最初の1年を除き、18年間の結婚生活はずっと日本。ある事象に対して、韓国、日本双方の目で見る習慣が自然に身についた。それゆえに「アイデンティティーを失った」と韓国人の友人から批判されることもある。しかし、大事なのは家族。丸く収められるならそうしたい。
そんなパクさんが心掛けているのは、「一歩下がってお互いを理解する」。大好きなキムチも、匂いも味もダメな妻のために自宅では食べない。親族間の結びつきが強い韓国では、妻の両親は実の親同然だが、日本人からすれば「重すぎる」。あえて距離を置いている。
「両親に孝行できない分、妻の両親にもっと孝行したいのですが。寂しいね」(パクさん)
●不満も楽しさに変わる
外国人の配偶者の親や親族との距離の取り方に戸惑いを覚えた日本人は多いようだ。ベトナム人男性と結婚して16年のキヨミさん(仮名・50)もその一人。
ベトナムに行くと、朝から晩まで親族の家で食事やおしゃべり。親族宅を何軒もはしごすることも。将来設計なども「なるようになる」。キヨミさんは自分もかなり大雑把な性格だと思っていたが、ベトナム人とはレベルが違うと感じた。
「『私や娘を一番大事にしてほしいのに』『予定が立たない』『老後に何かあったらどうする』と、すごくストレスでした」(キヨミさん)
考え方が変わったのは、夫の「お互いの国のいいところをわかり合ってやっていこうよ」という一言だ。不満に思っていたことを、「それも楽しい」と肯定的に捉えられるようになった。一人より大勢のほうがハッピー。起こってもいないことを心配しても意味がない。
●ムスリムもいろいろ
宗教が絡むと、国際結婚はより困難なのでは? 特に、1日5回のお祈り、断食、豚肉食の禁止、禁酒など戒律が厳しいムスリム(イスラム教徒)の場合、どうなのだろう。