アイドル激戦区、九州・福岡を本拠地に2011年に誕生したHKT48。12年にAKB48から移籍してきた指原莉乃(24)の知名度は絶大。だがそれに頼らず、本拠地での定期公演はもちろん、14年の九州ツアーを皮切りに半年に1度はライブツアーを開催して、そのクオリティーの高さでグループ全体の人気を高めてきた。
中心メンバーの宮脇咲良(18)は「見に来てくれる方の世代にあわせていろんな挑戦をしている。一番たくさんコンサートをしているグループになりたい」と話す。コンサートではAKB48グループを含めライバルグループの曲から、「UFO」「淋しい熱帯魚」といったひと昔前のアイドルソングまで、自分たち以外の曲を歌うのが定番だ。コンサートの曲目選びに関わる指原は、「私たちを知らないお客様にも毎回楽しんでもらいたいから、自分たちの曲だけにこだわらない曲選びをしています」と狙いを語る。
日本の西端にありつつ世界に開かれてきた九州という土地が、内輪のファンの盛り上がりを重視しがちなアイドルグループに「外」へ目を向けさせたのか。2月15日発売の新シングル「バグっていいじゃん」について聞くと、指原は「AERAを読んでらっしゃるお父さん世代の方々にとっては」と前置きした。
「仕事で煮詰まったとき、バカな気持ちになって気分転換できる、一回休んでみようかなと思えるすてきな曲です」
52人という大所帯グループで、埋もれてしまう心配はないのか。中心メンバーの兒玉遥(20)は笑顔を見せる。
「同世代を駆け抜ける同じ夢を持った子たちが周りにたくさんいて、そこから学べることがたくさんあります」
地方拠点、大人数アイドル……ともすれば「枷」となることを最大限に楽しみながら、彼女たちはいましか見られない輝きを放っている。(編集部・福井洋平)
※AERA 2017年2月20日号