日進月歩の家電の進歩で、家事は驚くほど楽になって……いないのはなぜだ! 気が付かぬうちに“メタボ化”した家事は時に苦役だ。家事は本来生きること。私たちの手に、家事を取り戻そう。AERA 2017年2月13日号では、「家事からの解放」を大特集。
今回は、女性と男性それぞれが行う家事の時間について紹介。女性と男性では、いったい、どのくらい差があるのだろうか。なんと、そこには、驚きの結果が……。
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掃除はルンバで、買い物はアマゾンで。家事は楽になったんだからわざわざ分担しなくても──そんな言説に「NO」を突きつける研究結果が続々登場している。
「家事が楽になった気がしない」。その感覚は、本当なのか。
総務省が1976年から行っている「社会生活基本調査」によれば、男性の平日家事関連時間(育児、介護、看護含む)は76年の6分から2011年は22分と微増したが女性は198分から191分に微減。時をさかのぼれば、水道などのインフラや家電製品の整っていない昭和初期の家事は今以上に重労働だった。
「昭和のくらし博物館」館長の小泉和子さんは、「特に洗濯は昭和初期が一番大変だった」と言う。江戸時代までは洗濯自体頻繁にしなかったが、大正期に洗濯板やせっけんが、その後洋服が普及し、毎日しゃがんで洗濯板でゴシゴシ洗うスタイルが生まれた。当時は服を縫い、布団を打ち直すのも家の仕事。和洋折衷の生活文化を取り入れた日本は献立も含め、家事の種類が幅広く、負担は大きかった。
●楽にならなかった
戦後、家電の普及で家事内容は大きく変わった。約2万戸の占領軍とその家族の駐留は、家電製品を短期間に生産する必要を生み、さまざまなメーカーが家電の本格量産技術を身につけたのだ。生活家電研究家で『にっぽん 家電のはじまり』などの著書がある大西正幸さんは、「手で洗うという重労働をなくした電気洗濯機、早起きして火をおこさなくても自動的にお米が炊けるようになった電気炊飯器、食材の長期保存ができるようになった電気冷蔵庫が、主婦の生活を最も変えた」と語る。家電はその後も進歩し、AI(人工知能)に詳しい東京大学の松尾豊特任准教授はディープラーニングの技術により画像認識能力が飛躍的に上がり、部屋に散らかっているものを一つひとつ認識し、指定された場所に戻す「お片づけロボット」も完成するのではと語る。