マンハッタンはヴィレッジのど真ん中にある、ニューヨークの名門ジャズ・クラブ「Blue Note」が東京にやって来た。
プレイするミュージシャンをかたどった外壁のレリーフ、大きく「JAZZ」と染め抜かれたフラッグやエントランスのキャノピーまでもニューヨーク本店そのままに、東京南青山の骨董通りに「ブルーノート東京」がオープンしたのは1988年11月のこと。
外観ばかりじゃない、壁もステージも、椅子やテーブルまでもが本家Blue Noteを彷彿させる作りの店内。そしてオープニングを飾るトニー・ベネットを皮切りに、週替わりで名を連ねる出演者リストは、本当にこれはニューヨークじゃなく、東京のジャズ・クラブなのかと疑うほど、超大物が並んでいた。
22年間のこのクラブの歴史の中で、最多出演者が誰か知らないけど、ブルー・ノート東京に出演15回目のデヴィッド・サンボーンにカメラを向けるチャンスをいただいた。
ニューヨーク・オールスターズの一員として初来日したサンボーンに、初めてカメラを向けたのは1978年、以後数多く来日している親日家で、インストルメンタル部門やフュージョン部門で数々のグラミーを受賞している実力人気ともにトップクラスのアルト・プレイヤーだ。
「この40年の中で最も偉大なサックス奏者の1人である。」とローリング・ストーン誌に言わせたサックス奏者の、多くを見て聴いて来られたのはとても幸運だ。
「泣きのサンボーン」と言われる特徴的な音色が飛び出すのも嬉しく、「サンボーン節」を楽しく聴きながら、ぼくは笑顔でシャッターを押していたのだった。
先ごろリリースされたアルバム「オンリー・エヴリシング」は、レイ・チャールズへのオマージュ作品と言われる。ニューヨーク・オールスターズから長年の朋友スティーブ・ガッド(ds)を迎えた、サンボーン24枚目の新作は、ジョーイ、デフランセスコのオルガンと絡んで、ファンキーでブルージーな「サンボーン節」濃密です。
デイヴィッド・サンボーン:David Sanborn (allmusic.comへリンクします)
→サクソフォーン奏者/1945年7月30日-