表を見てほしい。アルコール依存症になりやすいAタイプの人は日本人の約5%だが、

「来院するアルコール依存症の患者の約3割はこのタイプ。早い時期に依存症になりやすく、30~40歳代では35%を占めます」

 と横山医師。

 夜遅くまで飲んだり、飲み放題をしたりするといった日本独特のアルコール文化は、Aタイプの人がより依存症になりやすい、悪い環境なのだという。

「日本人の多くは翌日お酒が抜けやすいBタイプと、お酒に弱いDタイプなので、飲める人は夜遅くまで飲み続けるといった飲み方が広がりました。Aタイプの人は、このような飲み方はなじまず依存症になりやすいのです。Aタイプの8人に1人はアルコール依存症になっていると考えられます。アルコール依存症になる人は、決して自業自得ではなく、体質と日本のアルコール文化の犠牲者とも言えるのです」(横山医師)

 一方で、アルデヒドを酢酸に分解する酵素がまったく働かないEタイプでお酒がまったく飲めない下戸の人も、無理やり飲み続けることで依存症になるケースがあるのだという。

「下戸の人でも飲み続けることで飲めるようになる、と言いますが、飲める人と同じようにALDH2が働くようになるわけではありません。アルコールから分解されたアルデヒドは不快感もありますが、依存性もあります」(同)

 飲み続けることで、脳にアルデヒド耐性ができて依存症になるのだという。

 久里浜医療センターのほか、IT企業のNSDなど、民間の検査サービスで遺伝子を調べることで、自分のタイプが簡単にわかる。あらかじめ、自分の遺伝子の型を知ることで、お酒との良い付き合いを心がけたい。(編集部・長倉克枝)

AERA 2017年1月30日号

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