体の中で炎症が起きると、ミトコンドリアでのエネルギー産生が落ちる。さらに、ストレスや炎症に対してアドレナリンやコルチゾールなどの抗ストレスホルモンが出る。抗ストレスホルモンが出ると血糖値が上がるので、それを抑えるためにインスリンが過剰に分泌されるようになり、脂肪がたまりやすくなる。
抗ストレスホルモンのひとつ、アドレナリンには消化管の運動を低下させる作用もある。消化不良の食物は悪玉菌のえさになるため、腸内環境が悪化する。腸の環境が悪いと、よりIgGアレルギーを引き起こしやすくなる、という悪循環が生まれる。
また、「幸せホルモン」と呼ばれる神経伝達物質セロトニンも関係している。「炎症とセロトニンは、シーソーのような関係。体に炎症が起きていると、セロトニンは減る。でも人間はどうにかしてセロトニンを増やしたい。それが手っとり早くかなうのが、甘いもののドカ食いです」(伊東院長)
ドカ食いで一時的にセロトニンは出るが、炎症は悪化し、マッチポンプのような状態が続く。ドカ食いが習慣化している人は、大本にはIgGアレルギーの可能性があるかもしれないのだ。
このように「炎症」と「腸」をキーワードに、さまざまな作用が働いて、肥満につながっていくと見られている。
IgG抗体の検査で強い反応が出たらどうすればいいのか。同クリニックでは、その食品を除去するとともに、食事療法とサプリメントによる総合的な腸内環境治療を行う。期間は人と症状によるが、3カ月ほどで効果が見られることが多く、食品によっては再開できるものもあるという。
●食物除去は慎重に
試しに記者もこの検査を受けてみた。USバイオテック研究所の日本代理店、アンブロシアが販売している「IgG96スタンダード・フード・パネル(日本)」(税込み2万8728円)という検査だ。少量の血液を採取するだけで、日本人の食生活にあわせた108項目の食材に対する抗体が調べられる。検査方法は簡単だ。ランセットという器具を使って、指先にプチッと針を刺す。出てきた血を検査紙に染み込ませる。10分程度で済み、痛みは針を刺す一瞬のみ。