制作陣の思いをTBSの那須田淳プロデューサーが代弁する。

「登場人物たちは、みんなちょっとずつ変なところ、ダメなところがある。いろんな生き方があって、でもどの選択も正しいんだよ、と言ってあげるようなドラマにしたかった」

●ハッピーエンドの形

 誰も否定されず、どんな生き方も肯定される。そんな心地よさがあるからこそ、視聴率は一度も落ちることなく、1話では10.2%だったのが9話では16.9%(いずれも関東地区)にまで上がってきた。

「逃げ恥」では、家事代行サービス「ベアーズ」の高橋ゆき副社長が家事指導・掃除の監修を務めるが、同社はドラマの影響で、利用希望とみくり世代のスタッフ応募の両方が増えたと発表している。

 はたして最終回はどうなるのか。二人の恋の行方は?

 前出の小3女子(9)は、

「みくりちゃんがお手伝いさんじゃなく、ちゃんと夫婦になってハッピーエンドがいい」

 と無邪気に語ったが、家事は対価を払うべき労働であるという問題提起がされた以上、無償で妻が夫に家事を提供する従来型の結婚がこのドラマではハッピーエンドにならないことを、大人は知ってしまっている。

 ほら、こんなにハマらせて、どう責任を取ってくれるんですか、那須田プロデューサー!

「さみしいのは現場も同じで、ハードスケジュールだったけどもう終わっちゃうのか、もうちょっと作りたいな、っていう気持ちが僕らにもあります。登場人物たちはみなさんの心の中に残ってくれるはずなので、こんなときあのキャラならどうするかな、と思い出してください。みくりの妄想力をお手本に」

 柚木さんは、こんな楽しみ方もあると話す。

「すぐに『逃げ恥』の二番煎じドラマが出てくるはず。でもハードルは相当高いし、視聴者の目もかなり肥えた。『逃げ恥』みたいに作ればいいんでしょ、とお金も頭も使わずに作ったら、絶対にバレます。どこがチャレンジしてくるのかな、と意地悪な気持ちで楽しみにしています」

(編集部・高橋有紀)

AERA 2016年12月19日号