チェックのシャツをタックインした若者が、アニソンに合わせてブレイクダンスを踊る。それが、ニコニコ動画で200万回以上、YouTubeで100万回近く再生されている。彼らは何者なのか。
アニメソングに合わせて踊る5人の若者たち。コミカルなポーズの合間に繰り出すのは、ヘッドスピン、ウィンドミル、エアチェアと、ブレイクダンスの大技だ。
ニューヨーク発祥のストリートダンスで、相手を挑発し「ダンスバトル」で優劣を競うブレイクダンスは、ギャングの抗争の代用手段だったとも言われる。アニソンの世界観とはかけ離れている。二つを結びつけたのは「RAB(リアルアキバボーイズ)」。ブレイクダンスの達人で、アニメやゲーム、声優を愛してやまない生粋の「オタク」でもある。
●顔を隠して踊った過去
結成は2007年。ブレイクダンス大会の常連だった5人は、会話の端々から互いのアニメ好きを知り意気投合。秋葉原に連れだって買い物に出かけ、練習の合間にアニソンで踊った。
ニコニコ動画に動画を投稿すると反響は上々。だが、ブレイクダンスの大会では総評で主催者にこき下ろされた。
「こんなものをヒップホップの文化に持ち込んでほしくない」
意気消沈していた11年春、当時、視聴率10%を超えていたバラエティー「スター☆ドラフト会議」から出演のオファーが舞い込む。卓越したパフォーマンスとオタクルックのギャップが反響を呼んだ。
ブレイクダンスでは名の知れた実力派ぞろい。有名チームに所属し、日本一にも複数回輝いたドラゴン(33)は、オタクのイメージを嫌う仲間との軋轢(あつれき)に悩み、バンダナで顔を隠して踊ったこともある。当時を思い出して、こう話す。