実現は簡単ではなかった。コンテナ置き場の確保に加え、輸入企業側の賛同も得なければならない。土本は数年かけて交渉を重ね、体制を作り上げた。交渉力がある、という周囲の評価を地で行く成果だが、自分のことは「人見知り」と分析する。

「コンテナ置き場のみなと運送つくば支店、トラック業者、茨城県の協力もあって実現しました。これをひな型に、海外の物流改善にも採り入れていこうと思います」

 大学卒業後、地元・静岡の物流会社を経て、2006年にクボタへ転職した。1年の半分は出張先の海外で過ごす仕事優先の毎日だ。

「社内の開発や製造などはプロ集団ですが、物流はまだまだ。自分が物流のプロ集団を作っていきたいと思います」
 6人の部下にいつも助言しているのが「センスを磨け」。土本自身、相談を受けることの7割は未経験の事柄だ。それでも3割の経験と自分のセンスで毎回答えを出す。

「3人の子どもたちも徐々に手が離れてきました。これからは妻や子どものためにもプライベートを充実させていきたい」

(文中敬称略)

※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです

(編集部・小野ヒデコ)

AERA 2016年8月22日号