「優しい表情で」とリクエストするカメラマンに「女性候補の選挙ポスター写真を選ぶときも、女性は凜々しい、男性は柔らかい表情を選びたがるんです」と首をかしげる。社会が求める女性像を良い意味で裏切り続けてほしい(撮影/写真部・堀内慶太郎)
「優しい表情で」とリクエストするカメラマンに「女性候補の選挙ポスター写真を選ぶときも、女性は凜々しい、男性は柔らかい表情を選びたがるんです」と首をかしげる。社会が求める女性像を良い意味で裏切り続けてほしい(撮影/写真部・堀内慶太郎)

 日本の衆参両院の国会議員(717人)のうち、女性は94人。世界を見渡しても、日本の国会議員の女性比率は低い。彼女たちは男社会の永田町でもがき、懸命に闘っている。オヤジ化した自分と決別する女性議員も出始めた。蓮舫参議院議員(48)=民進党代表=に話を聞いた。

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 女性が政治家を目指すときの最大のハードルは、既婚者なら夫、独身なら両親です。選挙に出て落選しても、男性だったら肥やしになるけれど、女性にとっては家の恥でしかないというレッテル貼りは相当根深い。再就職も難しいです。

 晴れて議員になってもセクハラは当たり前。市町村など地方議員はとくに顕著です。他にも、夏の参院選で新人の女性議員が「トイレに行きたい」と恥ずかしくて言い出せず水分補給を控えた結果、脱水症状になったり、衆議院本会議場隣のトイレが男女入り口が同じでドアがなかったり。これは議院運営委員会で議論する問題ですが、男性中心の構成なので、優先順位が下がってしまうんです。こんな嘘みたいな状況が現実なんですよ。保育園の待機児童問題が解消しないのも、同じ構図だと思います。だからまずは女性議員の数を増やすことが必要です。

 民進党の参議院議員は50人中12人が女性なので、もう実質クオータ制なのですが、この男女比になってから空気がガラリと変わりました。例えば会食で、男性だと全員「まずはビール」のところをみんな全く違う注文をする。同調しないんですよね。これは政策でも同じで、政府は選択的夫婦別姓をなぜできないのかと、真っすぐに聞く。生活の細部に思いをはせて政策に反映できるのも強みです。

 女性リーダーとしての私の役割は、出産も育児も仕事も諦めず、全部楽しいことなんだというメッセージを発信し続けて、社会の空気を変えること。

 民進党は男女の別なく、子育て世代を中心に政策をまとめてきたので、意識はすごく平等です。今も女性議員の数を増やすためにクオータ制導入を目指して国会へ法案を提出していますが、女性であることに甘んじた政治家を増やしてしまうのではないかという葛藤もあります。自分で勝ち上がってくる女性を増やすほうが組織の力になるとも考えているからです。私はこれまで女性が手をつけてこなかった財政再建や行政改革に取り組んできました。性差があまり関係ない政策分野で勝負できる議員を増やしたいですね。(構成/編集部・竹下郁子)

AERA 2016年11月14日号